東京都港区の整形外科・内科・リハビリテーション科、
訪問診療、在宅診療のアットホーム表参道クリニック

アットホーム表参道クリニック

東京都港区の整形外科・内科・リハビリテーション科、
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内分泌専門外来

内分泌専門外来(内分泌内科)

内分泌疾患とは、体内でホルモンを分泌する内分泌腺の異常によって起こる病気です。内分泌器官には、甲状腺、副甲状腺、脳下垂体、副腎、膵臓などがあります。ホルモンは、内分泌器官から血液中に分泌され、少量で全身の様々な臓器の働きを調整しています。そのため、ホルモンの過剰や不足により、全身に色々な症状が現れます。健康診断などの通常の血液検査では、ホルモン値は測定しないため、内分泌器官の異常は分かりません。

内分泌疾患の診断、治療には、色々な症状から原因となる内分泌疾患を推測し、ホルモン値を測定する必要があり、専門的な視点が必要です。当院では、専門医が内分泌疾患を総合的に診療しています。

主な内分泌疾患について

甲状腺の病気

甲状腺は、喉ぼとけあたりにあり、蝶々のような形をしています。甲状腺ホルモンは、全身の代謝、活動性に関係しています。甲状腺疾患では、甲状腺ホルモンの過剰、不足などの機能の異常と、腫瘍や腫大など形態的異常があり、当院では、血液検査と甲状腺超音波検査で診療しています。

遺伝や自己免疫、ストレス、ヨウ素摂取量の過多・過少などが要因とされています。甲状腺疾患は内分泌疾患の中でも、頻度が高く、男女ともにありますが、女性により多い疾患です。

診断には、血液検査と甲状腺超音波検査を行います。特殊な検査、甲状腺シンチグラムや、細胞診・組織診などが必要な場合は、検査が可能な医療機関に紹介しています。

治療は機能亢進症、低下症は、薬物療法が中心です。手術やアイソトープ治療などが必要な場合には、専門医療機関に紹介しています。

  • バセドウ病 自己免疫疾患の一種で、甲状腺機能亢進症の原因となります。手のふるえ、動悸、発汗過多、食欲亢進、体重減少などが症状です。
  • 橋本病(慢性甲状腺炎) 自己免疫疾患により甲状腺が炎症を起こし、状腺機能低下症(低下傾向)を引き起こします。倦怠感、むくみ、冷え性、便秘などが見られます。
  • 甲状腺腫、甲状腺腫瘍 甲状腺が全体に腫大する場合や、甲状腺内に、良性または悪性の腫瘍ができる場合があります。機能異常を伴うことも伴わないこともあります。当院では、甲状腺超音波検査を行なっています。細胞診や組織診断が必要な場合には、検査が可能な医療機関にご紹介しています。

下垂体の病気

下垂体は脳の一部で、内分泌系を制御し、多くのホルモン分泌器官を統率しています。下垂体前葉からは6種類のホルモンが後葉からは2種類のホルモンが分泌されます。

  • 下垂体前葉ホルモン 成長ホルモン(骨や筋肉の成長、臓器で行われる代謝の調節など)、甲状腺刺激ホルモン(甲状腺の働きの調整)、副腎皮質刺激ホルモン(副腎皮質の働きの調整)、性腺刺激ホルモン(卵胞刺激ホルモン、黄体形成ホルモン:卵巣や精巣の働きの調整)、プロラクチン(乳汁分泌刺激)
  • 下垂体後葉ホルモン 抗利尿ホルモン(腎臓に働き、水分の出納を調整)、オキシトシン(乳腺からの乳汁分泌刺激)

各ホルモンの分泌が過剰になれば過剰症状が、低下すれば、低下症状が起こります。過剰になるのは、そのホルモンを分泌する「ホルモン産生下垂体腫瘍」ができる場合です。低下は、ホルモン産生腫瘍・非産生腫瘍や嚢胞(ラトケ嚢胞など)が大きくなり、他のホルモン産生細胞が圧迫された場合や、出産時の大量出血で下垂体の壊死をきたした「シーハン症候群」、自己免疫やその他の原因で単独のホルモン分泌が低下する場合があります。前葉の全てのホルモン分泌機能が低下する場合は、「汎下垂体機能低下症」、一部のホルモン分泌機能が低下した場合を「部分型下垂体機能低下症」と言います。

また、下垂体腫瘍に出血や梗塞が怒れば「下垂体卒中」と言われる、頭痛や嘔吐などの激しい症状をきたす場合もあります。また、下垂体のすぐ上に視神経があるため、目の症状を伴うこともあります。下垂体後葉の障害で、抗利尿ホルモン(ADH)が不足すると、過剰な尿量と口渇が生じる「尿崩症」が起こります。

診断には、各種ホルモンの分泌状態を、血液検査で調べます。日内変動や、分泌刺激や抑制刺激への反応性などを調べることもあり、入院が必要になることもあります。画像検査では、MRI検査が有用です。眼科で視野への影響などを調べることもあります。

治療は、下垂体腫瘍であれば、摘出手術や、腫瘍抑制作用のある薬剤を使うことがあります。欠乏症状には、内服薬、点鼻薬、注射製剤などで欠乏しているホルモンを補充します。当院と専門医療機関で連携して治療にあたります。

副甲状腺の病気

副甲状腺は、甲状腺の裏側に計4腺ある、米粒大のとても小さな内分泌器官で、カルシウム代謝を厳密に調節しています。

代表的疾患は、血中のカルシウム濃度が高くなる「原発性副甲状腺機能亢進症」と血中のカルシウム濃度が低くなる「原発性副甲状腺機能低下症」です。

原発性副甲状腺機能亢進症では、高カルシウム血症による食欲低下、嘔気などの消化器症状、高カルシウム尿症による多尿、脱水、腎障害、尿管結石などをきたすことがあります。また、骨からのカルシウムの溶出が起こるため、骨量が減少し、「骨粗鬆症」をきたすこともあります。もともとある4腺の1つが増大することが多く、甲状腺超音波で描出できることもありますが、他の場所にできることもあり、特殊な検査が必要になることがあります。良性の腺腫が多いですが、悪性腫瘍、癌のこともあります。4腺全ての過形成は、多発性内分泌腺腫症(MEN)という遺伝的な病気に合併することがほとんどです。

原発性副甲状腺機能低下症では、副甲状腺ホルモンの分泌低下が起こる副甲状腺機能低下症では、血中のカルシウム濃度が低くなるため、テタニーと呼ばれる特徴的な手足の筋肉の痙攣や、手足や口の周りの痺れ感などが主な症状です。

骨密度低下、骨粗鬆症の方が多い当院では、血中のカルシウム濃度を測定し、必要に応じて、副甲状腺ホルモンの測定を行なっています。

副腎の病気

副腎は腎臓の上にある内分泌器官で、血圧、血糖、水分・塩分量などの体内環境を整えていて、生命の維持に不可欠です。ホルモンの過剰で肥満や高血圧、糖尿病などを起こすことがあります。

副腎外側の皮質では、ステロイドホルモン(コルチゾール、アルドステロン、DHEA、DHEA-Sなど)が、副腎内側の髄質では、カテコールアミン(アドレナリン、ノルアドンレナリン)が産生されています。

コルチゾールは副腎から分泌されるホルモンで、あらゆる身体機能をつかさどっており、過剰でも、少なくても疾患につながります。

  • 1)原発性アルドステロン症 副腎からアルドステロンが自律的に過剰分泌される病気です。副腎腫瘍から分泌される場合と、副腎全体の過形成による場合があります。高血圧の方の5%程度を占めると考えられるほど頻度の多い疾患です。

    当院では、高血圧で受診された方に血液検査を行い、関連するレニン活性とともに、アルドステロンの血中濃度を測定しています。この疾患が疑われた場合には、さらに詳しい検査として、カプトプリル負荷試験を行い、陽性の場合には、副腎腫瘍の有無を腹部超音波検査で検索しています。

    さらに詳しい検査として、入院、副腎静脈サンプリングなどが必要と考えられた場合には、連携専門医療機関を紹介しています。

    治療は、腫瘍がある場合は手術が第一選択になります。過形成や手術を希望されない場合は、アルドステロン拮抗薬(ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRB))を使用し、血圧をコントロールしていきます。
  • 2)クッシング症候群、副腎腫瘍、副腎偶発腫瘍など 副腎から分泌されるコルチゾールが過剰になることで、高血圧、耐糖能異常、骨粗鬆症、月経異常、うつ症状など、この病気でなくともみられる症状と、満月様顔貌、野牛肩、中心性肥満、皮膚菲薄化、腹部赤色皮膚線条、近位筋の筋力低下などの特徴的な身体徴候を呈したりすることのある病気です。副腎の異常でコルチゾールが過剰分泌される病態(副腎性クッシング)の他に、下垂体や腫瘍などからのACTH(副腎皮質刺激ホルモン)の過剰が原因となる病態(ACTH依存性クッシング)、コルチゾールと同様の作用を持つ薬剤によってコルチゾール作用過剰の症状を呈する病態(薬剤性クッシング)もあります。特徴的な身体徴候を欠く場合には、サブクリニカルクッシング症候群と診断されます。副腎性クッシングの主な原因は副腎腺腫です。コルチゾール値、ACTH値、ホルモンの日内変動、副腎や下垂体の画像検査、負荷試験などを組みあわせて、診断するため、入院が必要となることもあります。人間ドックや、他の疾患のために撮影した腹部CT検査などで、偶発的に副腎腫瘍が発見されることも増えていて(副腎偶発腫瘍、副腎インシデンタローマ)多くは、ホルモン分泌のない良性の非機能腺腫ですが、ホルモン分泌能の検査及び、増大傾向が見られないか経過を追う必要があります。
  • 3)褐色細胞腫 カテコラミン(アドレナリンやノルアドレナリンなど)の産生能を有する腫瘍で、狭義では副腎髄質由来の腫瘍を指します。広義では、交感神経節由来の腫瘍を含み、副腎外褐色細胞腫あるいはパラガングリオーマと呼ばれます。カテコラミンは昇圧作用があるため、特に発作性の血圧上昇がある場合に、この疾患を考えます。そのほか、頭痛、動悸、発汗過多などを伴う場合には、この病気を疑う根拠となります。

    診断のためには、血中および尿中カテコラミンの濃度を測定しますが、これらの上昇は緊張や興奮でも見られます。そのため、カテコラミン代謝物であるメタネフリン分画の尿中測定が、特異性の高い検査として有用視されています。また、カテコラミン産生能を確認する画像検査として、123I-MIBGシンチグラフィーも有用です。当院では、高血圧などから当疾患が疑われた場合に血中濃度の測定を行っています。

    必要に応じて、専門医療機関へ紹介します。
  • 4)副腎皮質機能低下症、アジソン病 慢性副腎皮質機能低下症は、ステロイドホルモン分泌が慢性的に低下した状態で、副腎皮質自体の病変による原発性 と、下垂体の副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)分泌不全による続発性があります。

    原発性の慢性副腎不全はAddison病とも呼ばれています。

    副腎皮質ホルモンの欠落により、易疲労感、全身倦怠感、脱力感、筋力低下、体重減少、低血圧、食欲不振、吐き気・下痢などの消化器症状、精神症状(無気力、不安、うつ)など様々な症状が出てきます。いずれも 非特異的な症状で、症状からこの疾患を疑い、ホルモン値を測定しなければ診断できません。当院では、症状からこの疾患が疑われた場合に測定しています。

    原因は、感染症(結核など)、自己免疫によるもの、癌の転移によるものなどがあります。また、長期間ステロイドホルモンを内服していた方では、潜在的に副腎皮質機能の低下が起こることがあり、注意が必要です。

参考サイト/参考文献

その他、内分泌の病気に関しては、日本内分泌学会のHPに詳しく記載されています。

一般社団法人 日本内分泌会